kqtrain.net(京浜急行)

京浜急行を中心に「これは!」というモノを取り上げるblog

2008年01月26日(土)

「銚子電鉄」の事例から見る「事業」としての「鉄道」 [コラム「、のようなもの」]

 その昔、鉄道が開通することはその場所が発展するために欠かせない「インフラ」で「人や物を運ぶ」だけでなく、一緒に運ばれてくる「情報」を伝える役目を持っていたのです。

 ある場所からある場所への「拠点移動」だけではなく、途中にある中継点から枝分かれしながら「人」「物」「情報」を伝達することも担っていました。
 輸送が鉄道に限られていた時代には主要路線から枝分かれする形で小さな路線があちこちに作られていきました。これらの路線の多くは「モノ」を運ぶ「貨物」が主であり、「人」を運ぶ「旅客」はとても小さいものでした。

 しかし、道路の発展と自動車による小口輸送の効率化に伴い、鉄道に限られていた時代は終わりを告げ、「貨物」が主となっていた小さな路線は収益が悪化し始めました。
 元々旅客需要が限られている路線では「人」を運んでの収益が早々伸びることはなく、これまであった貨物輸送による収益をカバーすることなどは出来ません。
 そうなれば余計な支出を切り詰めざるを得なくなりますが、ただでさえ大幅な減収になっている状態では切り詰める事も限られてしまいます。この結果、支出の削減が限界に達すると「収益の不足をカバーする」という大義名分で「運賃値上げ」が行われます。
 値上げをして収益が上がればいいのですが、値上げを契機にこれまでの利用客が他の交通機関に切り替えてしまうことも発生し、事態が好転しないどころかますます悪くなることもあるわけです。こうなると

  1. 収入は減少するも支出は同じ
  2. 支出の切り詰めで減収分をカバー
  3. 切り詰めも限界まで達し、これ以上無理と判断
  4. 「収入不足をカバーする」ため「値上げ」
  5. 利用者が離れて収入は減少
  6. 1.へ戻る

と「負のスパイラル」に突入します。
 鉄道の場合、線路を敷設するのでその部分の土地を取得する必要があり、その土地には固定資産税がかかります。そのほかにも列車自動停止装置や踏切などといった安全装置の設置と点検整備、車両自体の定期的な点検整備や線路の点検整備などの避けられない支出が多数あることに加え、乗務員や駅係員などの人件費もかかります。
 支出の抑制も限界に達し、値上げも難しいとなった場合には、沿線自治体などが「交通インフラ維持」を目的に赤字補填などを実施することもありますが、これでも業績が好転しない場合、その路線は「廃止」の憂き目を見ることになります。
 「廃止」とならないようにと、各社は限られた条件で収益アップを試みますが、新たな利用者を掘り起こしたり、かつての利用者を取り戻すまでには至らないことになることがほとんどです。

 そんな地方の中小私鉄の一つである「銚子電鉄」は2006年11月15日に、自社のホームページに次のような一文を掲載しました。

 電車運行維持のためにぬれ煎餅を買ってください!!
 電車修理代を稼がなくちゃ、いけないんです。

 この悲痛な一文とその下に包み隠さず示された現在の状況(利用客の減少に加え、2006年8月に銚子電鉄の前社長が業務上横領で逮捕されたこと、それにより銀行から融資を受けられなくなったこと、千葉県や銚子市からの補助金が受けられなくなったことなどが原因で、銚子電鉄が非常に厳しい経営状態にあること、資金の不足により、車両の検査(法定検査)が発注できずにいることを説明し、そして、支援のためにぬれせんべいを始めとする銚子電鉄のグッズの購入や鉄道の利用を呼びかけたこと)は、インターネットを通じて多くの人に知られることになり、ぬれ煎餅への注文が殺到、その他のグッズにも多くの注文が入り、廃止の危機を脱しました。

 銚子電鉄は千葉県の銚子駅と外川駅を結ぶ全長6.4kmの非常に小さな鉄道です。
 過去にはNHKの朝の連続テレビ小説として、昭和60年上半期(1985年(昭和60年)4月から10月まで)に放送されたドラマ「澪つくし」のロケでも利用されたこともあります。
 かつては旅客輸送だけでなく国鉄との貨物輸送も行っていましたが、貨物の廃止から旅客輸送のみとなり、利用客の減少による収益の減少となってしまい、それを補う目的で銚子名産の醤油を使った「ぬれ煎餅」を製造し、販売し始めました。
 この「ぬれ煎餅」の製造、販売については一度TVなどで取り上げられ、一時的に売り上げが上がったとのことですが、一過性のものだったためにすぐに収束してしまいました。
 しかし今回はインターネットによる情報の伝播により、より多くの人に実情が伝えられたことと、「インターネット通販」という販路からの多くの注文があったこと(ただしあまりにも殺到したためにインターネット通販は一旦受付を中断、2008年1月26日現在再開されていない)で、予想以上の収入を得ることが出来たのです。

 ただ、逆に今回の事象で言えることは、もはや「鉄道本体の収益」だけで成り立たせていくのは無理、なのではないでしょうか?
 近年、地方の中小私鉄や国鉄のローカル線から転換した第三セクターの廃止や苦境が伝えられています。これらの多くは利用客の減少に歯止めをかけられないだけでなく、鉄道以外の収益の確保がままならないままの状態から脱却できない状態になっているように見えます。
 鉄道を「利用してください」というアピールをすることは当たり前ですが、それ以外の何か「+α」を求めている人たちのアンテナに引っかかるようなアピールをしていくことにより、地元だけでなく他の地域を含めた人々の記憶や記録として残り、それらがさらに別の人に伝えられることにより、必要とされていることを伝え続けられるのではないでしょうか?
 その「伝え続ける」ことを収益につなげられるような形にすることが出来れば、存続できるようになるのではと思います。

 じゃあ「何かあるのかい?」と聞かれると答えに窮するのですけどね・・・(苦笑)

 向後功作の銚子散歩:2008.1.23 ちょっと宣伝させて下さい。 - livedoor Blog(ブログ)
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 【A面】犬にかぶらせろ!: 銚子電鉄と郊外化と都市計画
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Posted by kqtrain at 19時40分   トラックバック ( 0 )

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